「伝えたい」を伝わる形に。 株式会社高速オフセット

【NARASAKE】日本酒飲み比べパッケージを考案しました!

2025.01.14

NARASAKEパッケージサムネイル画像

奈良の企業様と共同制作をして2024年夏から販売を開始した「日本酒のミニ缶」
★日本酒ミニ缶に関する記事はこちら

このミニ缶は海外へ輸出し、販売をする予定なのですが、
「1本単体で販売するだけではなく、飲み比べができるように2缶セットで販売できたらいいなぁ…」という声から、2缶入りのパッケージを作成してみました!

パッケージ分野は形状や用途が様々なので、高速オフセットではまだまだ常に勉強中。
様々な部署を交えて試行錯誤を重ね、完成までとたどり着くことができたNARASAKEパッケージの誕生秘話について、今回お伝えします。

デザイン・紙・形状全てにこだわったパッケージを

今回作成したパッケージはこちらの2種類!
NARASAKE箱

▲窓なしタイプ

NARASAKE箱

▲窓ありタイプ

中身が見える窓ありと窓なしをベースにデザイン
奈良酒缶に掲載されている清流の優しいイメージを保ちながらシンプルに仕上げていきました。

たくさんの部署と協力しあってできたパッケージ。どういう経緯で完成したのかをステップに沿ってご紹介しましょう。

STEP01 形状は小ロット対応ができる展開サイズで設計

今回の制作は、今後の海外販売を備えた試作品のため、たくさんの部数を作る予定はありませんでした。できれば社内設備でできる仕様で、小ロットで作りたい!
その点から展開サイズは、小ロット対応のオンデマンド機に入るサイズで考えることになりました。

NARASAKE箱展開サイズ

パッケージの組み立てには糊付けなどの工程が必要ですが、今回は小ロット生産のため、組み立ては手貼り対応。作業する人によって完成品の差が出にくい簡単な組み立てにしたいとなり、最終的にワンタッチ底箱(ワンタッチ箱)の形状で決まりました!

箱の底
▲デザインする前の試作品底

STEP02 水彩イラストのタッチを生かしたシンプルデザイン。海外の方が日本を感じられるように

次は、どんなデザインにしていくかを考えていきます。
ターゲットは、東南アジアに在住している20代以上の方。また、日本のお土産や商品に興味がある方としました。

元々このミニ缶プロジェクトは、「大切な人と大切な時間をより楽しんでいただく」ことをモットーに始まりました。2缶セットを使うシーンを考えると、訪問時のちょっとした手土産や、「一緒に飲もう」と買っていく姿が思い浮かびます。

デザイナーの皆さんと「ターゲット、販売場所、販売単価」を元に打合せを重ねていった結果、

「日本のお酒であること。そして奈良は伝統的な街という雰囲気を感じてもらいたい」「手土産、プレゼント品として手に取りやすいようなシンプルデザインがいいかも」

などの意見をすり合わせしていきました。
そして出来上がったデザインがこちら

NARASAKE箱

こちらは、窓なしパターン。
ミニ缶にも描かれている奈良の鹿をモチーフにしました。さらに、表面と裏面それぞれに描かれた鹿を2箱並べるとかわいい仕掛けが!そうなんです。鹿と鹿が挨拶しているように見えるんです。

店頭に並べるときのディスプレイの1つになったらいいな。お土産やプレゼントとしたときについつい2箱買っちゃう人も出てきちゃうかも!という期待も込められています。

NARASAKE箱

2つ目は窓ありパターン。
NARASAKE缶は現在4種類あるのですが、どの銘柄のお酒が入っているかが一目でわかるように、窓から覗かせる形に工夫しました。奈良酒缶に描かれている優しい水彩タッチのイラストを全体的にあしらい、奈良の澄んだ自然を表現しました。

更に、当社の機械加工を駆使したデザインも。

NARASAKEパッケージ

実は近くで見ると、幾何学模様が印刷されているんですね。
これオンデマンドの白インキ、ホワイトトナーを使っているんですが、なんだかインキが光に反射してキラキラ光っているように見えて高級感がでるんです。シンプルなデザインの中にもさりげない工夫が、なんだか日本らしさを感じませんか?

デザイン×機械特徴を捉えた品となりました!

★ホワイトトナーを使ったNARASAKEパッケージについて下記のコラムにて詳しくご覧いただけます。

STEP03 用紙で高級感を。パッケージで人気な用紙「気包紙U-FS」を採用!

奈良酒は2缶合わせて日本の販売価格では約2,000円前後。さらに海外へ輸出となると、輸送費などのコストもかかるため単価はアップしていきます。そのため、やや高級感のある用紙で印刷しよう!となりました。

パッケージに最適な用紙は何かな?と調べていた時に特殊紙の取り扱いが得意な株式会社竹尾様へ相談。いつくかご提案いただき、その中の「気包紙」を選択しました。

気包紙の一番の特徴は、触った時の柔らかい感触。また、エンボスの強調も強くない白色の用紙なので、どんなデザインにも合わせられそうなのも良いなと思ったポイントです!

気包紙

パッケージデザイナー・工藤青石氏(1964-)の監修により誕生した、気持ちを包む紙「気包紙」。紙の豊かな触感を堪能することのできるパッケージ用紙です。蛍光染料不使用ながら高い白色度の白と、ニュートラルな黒の2色展開。針葉樹パルプの配合率を高めることで強度を保ち、特殊な表面処理によって折り適性にも優れた、FSC森林認証紙です。
引用:気包シリーズ|紙を選ぶ|竹尾 TAKEO

「気持ちを包む紙」というネーミングも、この奈良酒プロジェクトにぴったりな用紙!
そうそう!しっかりとFSC®認証紙にもなっていますよ。

STEP04 印刷から加工まで全て自社の設備を使って生産

そして、形状・デザイン・用紙が決まり、やっと量産印刷へ!
今回は初めにお伝えした通りロットが少ないので、オンデマンド機とカッティングプロッターにて製造しました。

カッティングプロッターの画像

今回はこれらの機械で製造を行いましたが、今後部数が多くなったら、当社が保有するトムソン型抜き加工機(マルチタスク機)で行うことも検討しています。
自社で様々な機械を保有しているからこそ、製造ロットに合わせて最適な機械を選択できるのが良いポイントだなと改めて感じた瞬間でした。

初お披露目はツーリズムEXPO2024展示会にて!

今回のパッケージは2024年9月26~29日に東京ビッグサイトで開催された「ツーリズムEXPOジャパン2024」にてNARASAKEの展示&景品として活用しました!

ツーリズムエキスポ展示会の様子

・鹿のイラストの水彩タッチが素敵ですね。
・デザインもラベル印刷も、箱を作ることもできるなんてすごいですね。
・パッケージがあるだけで海外でも販売しやすそう。

という嬉しい声をいただくことも出来ました!

★ツーリズムEXPOジャパン2024展示会の様子はこちらからご覧いただけます。

今後の展開は?パッケージの難しさも痛感し、日々挑戦中!

改めて感じたのは、「パッケージって奥深い!」

これまではパッケージの印刷だけだったり、協力会社様に一部工程をお願いしたり、組み立て無しの納品ということは経験してきたものの、プロジェクトに合わせてパッケージの企画から形状、デザイン、印刷、加工を自社で全て行うことは初めて。協力してくれたメンバーの認識を合わせていくことも含め、とても難しかったです。
根気強く協力してくださった社内メンバーにはとても感謝しています。

しかし、課題はまだまだ山積み。
例えば、手貼り内職で貼った時の糊の付き具合や、パッケージ込みで販売するとなった時の単価と予算の兼ね合い。新たな商品を企画して販売するって本当に課題があるなと感じています。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
新たな分野にチャレンジし、奮闘している高速オフセットを少しでも感じてもらえましたでしょうか?こんな当社を温かく見守りながら、同じようにどこかで新たな分野をチャレンジしている方の勇気にこのコラムが繋がっていたら嬉しいです。
高速オフセットでは、様々な部署と協力しあって日々挑戦を続けていきます!

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