高速オフセットでは、2024年2月に新たな枚葉印刷機を導入いたしました。
この機械を導入することで、ざらっとした風合いのある特殊紙や、パッケージや什器にも使われる四六判で約400㎏ある厚紙も印刷ができ、より一層、品質面に自信をもってご提供できるようになりました。
印刷機は、大きくUV印刷と油性印刷に分けられるのが一般的なのですが、今までの当社の枚葉機は全て「油性の水なし印刷機」というものを使っていました。
ただ、今回新たに当社が導入したこの印刷機は、UV印刷の水あり印刷機&水なし印刷機どちらも切り替えて印刷できるハイブリット式なんです。
と言われても・・・印刷の専門用語が多くて、正直「どう良いのか?すごいのか?」わかりづらいですよね。
最近はありがたいことに、お客様から「仕様に合う環境対応面でおすすめを提案してほしい!」と、仕様提案から任せていただけることも多くなりました。実は、仕様やロットによってはUV印刷を使えない場合も多いです。当社から提案させていただき、一緒に印刷方法や用紙を決めていく方が、お互い納得いく製品に仕上げられることも多いんです。
今回は、「初めての印刷発注だけど、環境対応印刷が求められている」という方へもわかりやすいように、印刷会社に問合せする前に役立つ「UV印刷と油性印刷の違い」について解説するとともに、「環境対応面のUV印刷」についての知識をお伝えします。
目次
1.油性印刷とUV印刷の違い
●乾燥方法の違い
油性印刷とUV印刷の一番大きな違いは、乾燥方法です。
油性印刷は、「浸透・酸化重合」と呼ばれる自然乾燥で乾かすのに対し、UV印刷は「紫外線硬化」と紫外線を照射させることでインキを速乾させます。
●納期の違い
インキを速乾させることができるUV印刷なので、油性印刷より納期が短縮できるのも特徴なんです。
上記の図のように、通常の油性印刷機は表面を印刷した後、乾燥し、そして裏面を印刷・乾燥。その後に製本工程へ入ります。この乾燥の時間は1回あたり約数時間~数日と言われています。※使う用紙の銘柄や印刷デザインによって変動します。
一方、UV印刷機は速乾なので印刷時間を短縮できます。更に当社の枚葉機では、1回印刷機に紙を通すと表裏とも印刷された状態で出てくる「両面印刷機」を採用しているので、一般的な片面UV印刷機と比較すると更に時間を短縮することができます。
印刷時間を短縮することは、1回の印刷に対し電気使用量も削減できる点も良いポイントではないでしょうか?
●色の再現度の違い
UV印刷機の速乾できる点には色の再現度・品質面にも大きくプラス効果をもたらします。
油性印刷の際は、「ドライダウン」という現象が起こります。
これは、油性印刷は浸透乾燥なので、印刷直後の色味と乾いていくうちに紙にインキが浸透することで色味が沈む(濁りや赤みが強くなる)可能性がどうしても発生してしまいます。
油性印刷機を扱う印刷職人は、そのドライダウンも見越して印刷直後の色を合わせていきます。理想の色合いになるよう調整するのも、印刷オペレーターの重要な役割の1つです。
ただ、これは職人の経験値に左右される部分があります。
高速オフセットでは、UV印刷機を導入することで職人の技術力による色の再現度の差をなくし、企業として均一な品質の提供を目指しています。
UV印刷は速乾性があるので、ドライダウンが最小限にとどめられます。そのため、印刷直後に出てきた色味がそのまま製品となるのです。
もちろん、色合わせの難易度の高いデザインやご希望のあるお客様へ「印刷立ち合い」もお受けしております。
UV印刷機で印刷立ち合いを行うと、お客様の希望の色味をその場で叶えることができるので、「思っていたものと違う製品が上がってきた!」という可能性を最小限にとどめることができるのです。
印刷立ち合い希望の方は担当営業まで事前にご連絡ください。
★当社とお取引のある企業様、もしくは当社設備を使っての印刷をお考えの企業様向けに工場見学を行っております!
詳しくは下記よりご覧いただけます。
https://www.kousoku-offset.co.jp/factory-form/
※輪転機や枚葉機などを使った印刷を考えているお客様に限ります
●石油系溶剤やVOCを使わないので人にも環境にもやさしい
油性印刷機と比較して、UV印刷機のインキには、石油系溶剤やVOC(揮発性有機化合物)が使われていないのも特徴です。印刷発生時にこれらの成分が発生しないので、印刷を稼働している職人の人体影響も守ることができ、大気に与える影響も削減できるので、環境対応にもなっています。
2.UVインキ環境対応マーク:ノンVOCインキ・VOC FREEインキとは?
●UV印刷機のインキの特徴
先ほどもお伝えしたように、UV印刷機のインキの特徴は石油系溶剤やVOC(揮発性有機化合物)が使われていないことです。
バイオマスインキやベジタブルインキには、石油系溶剤が含まれてしまっている点が大きな違いです。
つまり、UV印刷のインキは、バイオマスインキやベジタブルインキよりも更に上の環境対応インキと言えるのではないでしょうか?
●ノンVOCインキ・VOCFREEマークはどんなマーク?
ノンVOCインキマークやVOCFREEマークは以下のようなものがあり、当社のUV印刷機にもこれらの環境印刷ロゴを掲載することができます。(一部抜粋)
■ノンVOCエコインキマーク(水なし印刷機の場合のみ)
■ノンVOCマーク
■VOC FREEマーク
これらは一部になり、他にもインキによってそれぞれマークがあります。
ノンVOCとVOCFREEマークはどう違うのか?と質問いただくことがありますが、厳密には差はありません。これはインキメーカーが発行しているマークデザインの差と認識いただければと良いかと思います。
※どのメーカーのインキを使うかは仕様によって対応機械が違うので、基本的には当社にて判断を致します。マーク掲載希望の方は、お問い合わせフォームもしくは担当営業まで「ノンVOCインキマーク掲載希望」とお伝えください。
●グリーン購入法への対応は?
グリーン購入法とは、環境省が定める「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」です。
参考:グリーン購入法について
広報誌などの自治体・国が発行する印刷媒体はグリーン購入法に適応しているか?を求められる場合が多くあります。
環境物品等の調達の推進に関する基本方針(令和5年12月22日変更閣議決定)のP216の規定にあるとおり、大前提として高速オフセットのインキは化学安全性が確認されたインキを取り扱っています。
さらに、【配慮事項】の部分を見るところ 「③揮発性有機化合物(VOC)の発生抑制に配慮されていること。」 という欄には、UV印刷機では揮発性有機化合物(VOC)が含まれていないインキを使っているので、インキ面ではクリアしているということになります。
東京都が開示している「東京都グリーン購入ガイド(2024年4月1日施行)」資料のP2「(印刷インキ類)1.ア」を調べてみたところ、
ア.①のインキを使用する。ただし、①によれない場合は②のインキを使用すること。
① ノンVOCインキ(石油系溶剤を使用しないインキ)又はリサイクル対応型UVインキ ②バイオマスを含有したインキであって、かつ、芳香族成分が1%未満の溶剤のみを用いるインキ
参考:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/tokyo_green-tokyo_green-files-2024_honbun
とあるように、ノンVOCインキを推奨していることがわかりました。
※各県や地方自治体によって、グリーン購入ガイドは変わってくるのでご注意ください。
3.UV印刷×バイオマスインキマーク/ベジタブルインキマークは掲載できる?
ここまで、UV印刷とUV印刷で使えるマークのノンVOCマーク/VOCFREEマークについて解説していきました。
ただ、これらノンVOCマークや VOCFREEマークは正直一般的に認知度がまだまだ低いのが現実です。そのため、どうしてもバイオマスインキマークやベジタブルインキマークを掲載したいというお客様も少なくありません。
当社では、そのようなお客様向けに、UV印刷機を使って、ノンVOC、ベジタブルインキ、バイオマスインキマークが全て併用できるインキを使っての印刷手配も可能です。
どうしてもと、ご希望のある方は、お見積り段階で事前に担当営業までお知らせくださいね。
専門的な印刷知識は高速オフセットにお任せください
印刷って、印刷する部数や加工方法・仕様によって印刷機が変わっていくので、とても専門知識が多く、奥が深いのも面白い所です。
高速オフセットには、様々な印刷機と1つ1つの印刷機に対しての専門部署の職人が在籍しており経験が豊富です。
こんな印刷物できるかな?という相談ベースからでもお気軽にお問い合わせください。
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