「伝えたい」を伝わる形に。 株式会社高速オフセット

「作りたて」の提供にこだわって30年。~高速オフセット食堂で働く魚国総本社の調理師さんに取材してみた~

2025.01.06

高速オフセットのコラムで度々登場する、堺工場の食堂。

実は、前回のマガジンで取材させていただいた株式会社 魚国総本社の調理師、板東公美さん(以下敬称略)が30年以上も食事を作り続けています。

  • どんなことに気を付けながら食事を作っているの?
  • 高速オフセットの食堂の特徴は?

など、株式会社 魚国総本社 大阪本部(以下敬称略)の方と共にインタビューしてみました。

高速オフセット社員食堂

▲板東さんは魚国総本社へ入社後、新聞社の食堂を担当し、約30年前に高速オフセットへ。実は、中華屋で働きたかったのだそう。

Voice01

食堂だからこそ味わえる、「作りたて」を大切に。

――いつも栄養バランスのいい食事を作ってくださりありがとうございます。板東さんは、いつから高速オフセットの食堂を担当されているのでしょうか。

板東: 30年前くらいで、赴任してすぐに阪神・淡路大震災がきたのを覚えています。その時食堂は扇風機が落ちていたぐらい。大きな被害もなく、工場は頑丈でしたね(笑)。

――魚国総本社様にもお伺いしたいのですが、このように長く食堂を担当するというケースは多いのでしょうか?

魚国総本社: 他の企業様の例を見ても長いです。20年でも「長い」という印象。30年というのは本当に長いですね

――板東さんといえば、過去に、当社の社内報に出演していただいたのを覚えています。私は普段本社勤務で堺工場の食堂を利用しないのですが、「板東さんという調理師の方が食堂にいる」ということは当社の社内報を読んで認識していて。高速オフセットの社員からすると、板東さんも当社の一員というイメージがあります(笑)。

社内報の企画例

▲2010~2013年の社内報。「板東さん直伝 簡単レシピ」という企画でご協力いただいた。

――食堂に板東さんがいると、とても落ち着くんですよね。料理ができるまで「ちょっと待っててね」「ごめんね」と優しく声掛けもしてくださって。

板東: 意識したことがなかったです(笑)。とにかく出来立てを提供することを大切にしているので、お腹が空いていらっしゃるけれど、待たせてしまうことが多くて。でも、やっぱり食堂だからこそ、作りたてを味わってほしいなと思っています。

Voice02

食堂で食べる時間が、心地よいものとなるように。

――調理師は板東さんがお1人で担当されていると聞きました。新聞工場のメニューを考える際、意識していることは何かありますか?

板東: 工場作業の方が多いので、基本的にはボリュームやジューシーさを重視し、メニューを考えています。最近は内勤の方や、30年前と比較して女性社員の方が増えたので、例えば小ごはんというメニューを作ったり、少し変わったフェアのメニューも取り入れるようにしました。

ご飯の量を調節してもらえる。

▲ご飯の量を調節してもらえる。

板東: 生野菜は必ず付けるようにして、栄養の調整をしています。食堂を利用する人の中には、「自分から野菜を食べない人」も多いと思う。だけど、付いていたら「食べようかな」という気持ちになるんじゃないかって。まずはそこから、野菜をとってくれたらいいなと思っています。

――確かに、自分から選ばなくても、メニューに野菜が付いていたら食べるかも。栄養面をきちんと考えられていて、さらに食堂を利用する人の特性までつかんでいるなんて、本当にありがたいことです。

――高速オフセットで一番人気のメニューはありますか?

板東: 一番売れるのは中華です。できたてのアツアツを提供できる点が喜ばれるのでしょうか?週のメニューとして必ず入れるようにしていますね。チンジャオロースや八宝菜。

社食の回鍋肉

▲回鍋肉。野菜たっぷりで、濃いめの味付けがご飯によく合う。

社食のすき焼き

▲すき焼き。寒い季節にはとても温まる。

板東: あとは鍋系もよく出ます。寄せ鍋、すき焼き…いろんな種類がありますが、一番人気はキムチ鍋。それ以外ではのり弁が人気ですね。月・火・水は特に丼ものが多いです。

――曜日ごとにメニューを決められているのでしょうか?

板東: 高速オフセットさんでは「この曜日に○○が食べられる」と意識して来られる社員さんが多い んです。例えば「鶏飯は金曜日」と、なんとなく皆さんの頭の中で決まっているんですね。前に、他の曜日に鶏飯を出し、金曜は違うメニューにしたところ、「あれ、鶏飯は?」と言われてしまって…。決まって鶏飯を選ぶ社員さん一定数いらっしゃるので、曜日のイメージを裏切れないんですよね。

――本当に、当社の社員のことを熟知されていてびっくりしました。板東さんは何時ごろ出社されているのでしょうか。一日の流れを簡単に教えていただけますか?

板東: 5:45頃に出社して、消毒やお茶の準備、野菜の下ごしらえなどから始めます。8時頃からメニューやメイン料理を準備し、11時に開店。新聞印刷・制作部の一部の方々が11時前後に来て、12時頃には総務部・制作部の方が。13時頃に輪転印刷、14時ごろに制作部の残りの方が来るという流れですね。

――すごい!どの部署の人たちが何時くらいに来るかも把握されているんですね。以前のコラムでも書いたのですが、一人ひとりのアレルギーやちょっとした好き嫌いも把握されていて。例えば玉ねぎが嫌いとか、鶏肉がダメとか。

板東: できる限り、気持ちよく食べてほしいんです。なので、一人ひとりの食のスタイルをお聞きして、時には調理する時に食材を抜くようにしています。きのこ嫌いの方には茶わん蒸しを用意したりもしますよ!「嫌いな食材を伝えるのは恥ずかしい」と思われるかもしれませんが、せっかく食堂に来ているのだからこそ、おいしいと思えるご飯を好きなだけ気持ちよく食べていただきたい

魚国総本社: 板東さんのように、一人ひとりのアレルギーや好き嫌いを覚えている人は少ないと思いますね。

Voice03

新メニューチャレンジに向けて、ぜひリクエストボードの活用を!

――食堂では時々変わったメニューを見かけます。例えばこの前は「ロースカツ ビナグレッチソース フェイジョアーダ添え」というのがあり、ついつい注文してしまいました。これらのメニューも板東さんが考案されるのですか?

板東: スポット商品やフェアメニューというのがあり、魚国総本社 CS推進部からレシピが届きます。そこからいくつかチョイスしています。特にポスターが付いているメニューは人気になりやすいので、取り入れるようにしています。

「世界の料理フェア」で出たメニュー。ビナグレッチソースはブラジルで定番の万能調味料だそう

▲「世界の料理フェア」で出たメニュー。ビナグレッチソースはブラジルで定番の万能調味料だそう。

板東: 世界の料理は珍しいので注文される方も多いですが、この前のメニューは食べ方も難しかったようで…。付け合わせのフェイジョアーダ(豆の煮込み)をソースと勘違いされる方が多かったです(笑)。

――確かに、「これってカツに付けて食べるの?」って聞く社員が多かったですね(笑)。でも、そんな会話も、板東さんやパートさんたちが優しく話しかけてくださるからなのかなとも思います。

――他に印象的だったメニューといえば、バレンタインや七夕の時のメニューがとても可愛かったです。

バレンタインランチのメニュー

▲バレンタインランチのメニュー。ハート形が可愛らしい。

七夕のメニュー

▲七夕の日は星型に。ランチタイムがちょっぴり特別に。

板東: こちらも本社から届いたメニューで、季節感を楽しんでもらいたいと取り入れました。高速オフセットの総務部さんからいただいたリクエストでは、ハンバーガーをご提供したことがありますよ。

ハンバーガー

▲総務部リクエストのハンバーガー。野菜がとれるようにと、ポテトもセット。

――おいしそう!当社からのリクエストでメニューを考案することもあるのですね。

板東: はい。リクエストボードを設置しているので、そこに記載があれば取り入れるようにしています。でも、皆さん恥ずかしがりなのか、中々集まらず…。

――そもそもリクエストボードがあるなんて知りませんでした。食べたいもの、なんでも書いても大丈夫ですか?

板東: 食堂に来ていただける機会をとにかく増やしたいので、積極的に書いてもらえれば。新しいメニューを追求しているつもりですが、毎日色んなことに追われているので、アイデアに限りがあるんです。だからこそ、みなさんの「食べたい」の声をいただければ、よりよい食堂になっていくのではと思います。

――ちなみに、食堂の管理をしていて難しいなと思うことはありますか?

板東: 想定通りの注文が入らなかった時です。「今日はセットメニューが出る!」と思って準備していたのにA定食ばかり注文が入ったら、「予想が外れたー!」と思いますね。

――なるほど(笑)。そうならないためにも、リクエストボード等で要望や、感想をお伝えできればお互いに良いですね。私は本社勤務なのですが、堺工場に立ち寄る際には活用させていただきますね!

リクエストボード

▲堺工場食堂のリクエストボード。寄せられるリクエストは板東さんのアイデアの種に。「小さなことでも何でもいいので、ぜひ活用してほしい」とのこと。

――最後に1つ質問です。魚国総本社様の社内報「うおくに」は、毎号読んでおられますか?

板東: 毎号読んでいて、家に保管しています。捨てられない性格なので(笑)。全国の従業員が取り組んだ料理の企画やアイデアを紹介する「Company Topics」のページが好きですね。掲載されている内容を参考に、新しいメニューを考えることもありますよ。

――実際に読んでいるという声をお聞きして、「うおくに」を制作・印刷している私たちも嬉しくなりました。今日はお忙しい中、ありがとうございました。

取材当日の食堂のメニュー

▲取材当日の食堂のメニュー。高速オフセットの従業員がよく注文する中華と、フェアのうどん料理。食堂を利用する一人ひとりの好みを熟知し、心地よい空間づくりも考えておられることが印象的だった。

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インタビューを終えて

魚国総本社様では、ブランドスローガンとして「おいしいをもっと。すこやかをずっと。」を掲げられておられます。板東さんが語る言葉の節々には、そのスローガンが表れていると感じました。例えば「気持ちよく食べていただきたい」、「意識しなくても野菜がとれるように」など。企業として大切にしたいことが、きちんと従業員の方に伝わっているのだと思います。

そして、社内報が企業のメッセージを従業員全員に浸透させるツールなのだと、今回のインタビューを通して改めて気づかされました。

高速オフセットでは自社の社内報ほか、他社様の社内報も多数手がけています。これからも、「伝えたいが伝わる媒体」の追求に努めてまいります。

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