“食”の可能性を広げる多様なフードサービスを展開する株式会社 魚国総本社様。年に4回、紙媒体の社内報「うおくに」を発行されています。
高速オフセットでは社内報「うおくに」の制作・印刷を手掛けているのですが、
・「うおくに」をたくさんの従業員の方に読んでもらいたい
・社内報制作をしているすべての企業様に向けて、何かヒントとなることを発信したい
という点から、今回は株式会社 魚国総本社 管理本部 総務室の担当者様(以下、敬称略)に「社内報発行にかける想い」をお伺いしました。
目次
- Chapter1:社内報発行にかける想い
――情報が手元に、確実に届く。会社と従業員が「紙」を通して繋がる
- Chapter2:社内報の企画・こだわり
――書き手と読み手を繋ぐ、双方向のコミュニケーションツールを目指して
- Chapter3:次世代へのアプローチ
――次世代に、「食」のバトンタッチを。目指すは「1人1人がインフルエンサー」。
Chapter1:社内報発行にかける想い
情報が手元に、確実に届く。
会社と従業員が「紙」を通して繋がる
――まずは、社内報「うおくに」を発行される目的をお聞かせください。
魚国総本社:4つの目的と役割があります。「経営層の意向と情報の伝達」、「制度やプロジェクトなどの情報の共有と記録」、「コミュニケーションの促進」、そして、近年最も力を入れているのが「エンゲージメントの向上」です。
――魚国総本社様にとって、社内報とはどのような存在でしょうか?
魚国総本社:当社では、社内報は会社と全従業員が情報を共有・活用できる唯一無二の伝達ツールとして存在しています。グループウェアでは全従業員を網羅しておらず、全従業員に行き渡ることができるのは「紙」の社内報だけになります。コロナ禍においても、紙の社内報があったからこそ「繋がり」を感じられることができたのではないかなと実感しております。
――「紙媒体」ならではの魅力があるということですね。
魚国総本社:給与明細書や出勤簿は電子版に切り替えが進みましたが、社長の意向もあり社内報は「紙」での発行を続けています。会社と従業員が繋がることができる、「ひとりひとりの手元に直接情報が届く伝達ツール」としての魅力があります。
――高速オフセットの堺工場にも魚国総本社様の調理師さんがいらっしゃいますが、現場で働く従業員へはどうやって届けているのでしょうか。
魚国総本社:まず、高速オフセット様から10の本部・支社に送っていただきます。そこからは、食材の配送ルートなどの社内便、または営業担当が直接配ったりと様々です。
▲高速オフセット 堺工場で働く調理師、板東公美さん。高速オフセットでの勤務は30年以上。社内報「うおくに」も毎号欠かさず読んでいるとのこと。
※後編記事にて板東さんへのインタビュー記事を掲載予定。
――離れた場所で仕事をしている調理師さんにとっても、社内報が届くと「会社と繋がっている」という安心感があるのかもしれませんね。
魚国総本社:当社の従業員には高齢者も多く、デジタル版ですと各自が見にいかなければなりません。ですが、「紙」は必ず手元に届き、見ることができる点が魅力です。
――大事な情報や経営のことは、確実に従業員の方に伝えたいですよね。
魚国総本社:そうなんです。実は、最近は社内報で伝えたいことが多すぎて…ページ数や構成が多くなってきています。
――素敵な悩みです(笑)。
Chapter2:社内報の企画・こだわり
書き手と読み手を繋ぐ、
双方向のコミュニケーションツールを目指して
――社内報掲載する情報は、どのように集めているのでしょうか。
魚国総本社:ケースバイケースで、こちらから掲載依頼をお願いする場合もありますし、従業員からの依頼もあります。コロナ禍で対面のコミュニケーションが取りづらくなった時にも、従業員から「社内報に情報を掲載したい」という依頼がありました。
――コロナ禍の際は、どのような情報掲載依頼があったのでしょうか。
魚国総本社:裏表紙の「安全衛生環境だより」のコーナーを担当する部署から、「食品を扱う会社として衛生情報をしっかり啓発したい。同じ内容でも繰り返し掲載し、徹底的に伝えてほしい」と依頼がありました。
――確かにコロナ禍という状況下では、食品の取り扱いは慎重になりますね。重要な情報だからこそ、同じ内容であっても繰り返し掲載されていたんですね。
▲安全衛生環境だよりのコーナー。毎号裏表紙に季節の衛生情報を掲載し、食品を取り扱う上での衛生管理の啓発を行っている。
――毎号の企画はどのように決めるのでしょうか?また、企画する際に気を付けているポイントはありますか?
魚国総本社:はじめに広報部署と制作部署とでメンバー構成された広報委員会を開催し、経営層の方針や意向、社内のプロジェクトやイベントなどを確認し、共有します。委員会の中で、発行月に合わせて最適な企画を立案、決定します。
魚国総本社:特に今年からは、一方通行の情報発信ではなく、書き手と読み手の双方向の情報交換になるような記事を心がけています。紙面のアンケート掲載もスタートしました。次の課題としてアンケートをどう集めるか、見せ方や伝え方を工夫していきたいですね。
――企画を紙面に落とし込む中で、何か意識しておられることはありますか?
魚国総本社: 私もまだまだ勉強中なのですが、文字の大きさやフォント、写真の見せ方、バランスなど、読み手の立場に立っていかに読みやすく伝えるかを意識しています。
最近は、社内にデザインが得意な従業員がいるので相談したり、高速オフセットさんの「うおくに」担当デザイナーの方にもアドバイスをいただきながら、一緒に作りあげているという印象です。
――例えば、11月号で意識したポイントはありますか?
魚国総本社: 6ページ目からはじまる「ステップアップサークル活動全社発表大会」の特集です。文字より写真を多くすることで、準備や当日の様子、風景がより伝わることを意識しました。また、サポーターにも焦点をあて、1つのチームだということを伝えています。
▲事業所単位で職場の課題を見つけ、解決に向けて取り組む「ステップアップサークル活動」。自主的に考え行動することが成長に繋がり、コミュニケーションの活発化や良好なチームワークを実現している。社内報では全社発表大会の様子を大きく掲載。すべての事業所の写真をバランスよく均等に配置するなど、レイアウトも工夫。
――確かに、従業員さんの写真が多いのが印象的ですね。
魚国総本社: 社内報を見て他の事業所の活動を知り、自分たちの事業所に反映してもらうことで、エンゲージメント向上にも繋がるのではと考えています。
――読者の方から評判のいい企画や連載コーナーはありますか?
魚国総本社: 新入社員・若手先輩社員の特集は特に人気があります。当社では総合職、栄養士、調理師と職種がありまして、それぞれにスポットをあて、質問に答えてもらっています。新入社員だけではなく、入社4年目までの先輩社員からもコメントをいただき、さらに上司の期待の言葉の掲載することで、働くうえでのモチベーションアップに繋がるコーナーを意識しています。
――魚国総本社様の場合は事業所が全国に分布しているので、ここに掲載されることで「同期が頑張っているな」と思うきっかけにもなりそうですね。
魚国総本社: アンケート結果や聞こえてくる感想でも、このコーナーは大変好評です。他には、先ほどご紹介した大会の特集や入社式、SDGs特集も反響があります。
魚国総本社: 参加型の取り組みでいえば、周年記念のイベントで川柳や絵画、笑顔の写真を募集したことがあるのですが、関心が高く応募は多いですね。
――従業員の方が積極的に応募されているというのも素敵です。社内報を編集されるチーム内では、過去に印象に残っている企画や取り組みはありますか?
魚国総本社: 「うおくに探訪記」です。全カンパニーを訪問取材し、カンパニー長、従業員へのインタビュー、所在地の特色など盛りだくさんで紹介しました、続編や特別編もあるかも⁉です。
――楽しみに待っています(笑)。社内報を発行し続ける中で、何か嬉しかったこと・もしくは社内での変化はありましたか?
魚国総本社: 読み手の声が聞こえてきた瞬間です。「あの企画、良かったね」等ポジティブな意見もですが、反対に良くなかった声も参考になる。読み手と書き手の双方向の意思の疎通を意識しているので、「読者の声が聞こえること」が、やりがいに繋がります。
――社内報の今後の展開があれば教えてください。
魚国総本社: WEB版の声があるので、ハイブリッド社内報も検討していきたいです。ただ、まずは書き手側と読み手側の双方向の意思の疎通を重視したい。そして、その声を紙面に反映させていきたいと思っています。
Chapter3:次世代へのアプローチ
次世代に、「食」のバトンタッチを。
SDGsを通した交流で生産者とつながりたい
――せっかくなので、その他の活動についてもぜひお聞かせください。魚国総本社様では、SDGsの取り組みにも非常に力を入れられていると感じています。例えば「みらいの給食週間」など、こういった取り組みはどのように企画されているのでしょうか。
魚国総本社: 「みらいの給食週間」の企画は、「食材の選定」からスタートします。生産者様の声を直接お聞きするために、そして当社の「食育」への思いを知っていただくために。北は北海道から南は九州・沖縄まで何度も足を運びます。そこで生まれる生産者様との絆、繋がりから企画が生まれていきます。
▲SDGsについて分かりやすく、楽しく伝えるイベント「みらいの給食週間」。今年で3回目となり、円谷プロダクションとの協働企画として2024年10月21日~25日まで開催された。
魚国総本社: 子どもの時に体験したことって、意外と大人になっても覚えていることが多いと思います。子どもたちが大人になって、「こんな給食を食べたな、こんな学びがあったな」「この食材のメニューを食べたことがある!」などが記憶に残り、それが次の世代への「食」のバトンタッチになればという願いがあります。
――子どもたちの感想って、本当にまっすぐで、考えさせられることが多いですよね。
魚国総本社: そうなんです。先日中学生をお招きし、「食から学ぶ防災プログラム」を実施したのですが、終了時に学生さんから「もっと早く学びたかった!そしたら給食を残さなかったのに」「将来、栄養士を目指したくなりましたが、どうしたらなれますか」などの嬉しいお声をいただき、スタッフ一同、感動に包まれました。
魚国総本社: ゆくゆくは当社のファンになって、今度は「食を提供する側になりたい」と思ってくれれば嬉しい限りです!
――SDGsイベントの交流で、「食」について考える機会を作るとともに、次世代の担い手も増やす取り組みをされているんですね。とても素敵なアクションだと思いました。
――他に、魚国総本社様で取り組みを進めていることはありますか?
魚国総本社: 当社は2025年5月に創業111周年を迎えます。100周年では、当社のキャラクターである「お米丸」が印刷されたたフードトラックで全国を回りました。フードトラックと共に石窯を用意して、お得意様に米粉で作ったピザをご提供いたしました。お客様の笑顔、そしてスタッフの笑顔もあふれる素晴らしい経験をさせていただきました。
▲お米丸が印刷されたフードトラック。
▲提供されたお米のピザ。1枚1枚石窯で焼いている。
――フードトラックにお米のピザ!とっても楽しそうなイベントですね。
魚国総本社: まだ詳しくは言えないのですが、111周年も様々な企画を考えていますので、ぜひ楽しみにしていて欲しいです。また、当社は大阪万博の関西経済同友会大阪・関西EXPO委員会が取り組む「大阪・関西万博に向けた『企業版教育コンテンツ』」に参加しています。全国の中学校、高等学校から生徒さんを当社にお招きして「食から学ぶ防災プログラム」を実施し、食を通じてSDGsについて学べる機会を設けています。
――魚国総本社様と観点は違いますが、当社もSDGsの目標達成に向けて様々な取り組みを進めています。アプローチは違えど同じ目標に向かっているというのが、なんだかワクワクします。
――最後になりますが、高速オフセットの印刷サービス、及びその他提案等で何かご意見やご要望等がありましたらお聞かせください。
魚国総本社: はじめに、当社の社員食堂の運営と社内報制作にて、多大なるご協力とご支援をいただいていますことに深く御礼申しあげます。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
魚国総本社: 当社は企業イメージや『良さ』を上手く伝えるコンテンツの持ち合わせがまだまだと認識しており、今後の課題のひとつであります。高速オフセット様にはぜひ、伝わる手段や手法について相談させていただきたいです。
● 株式会社魚国総本社様 公式サイト
***
今回の取材において、高速オフセット堺工場の食堂で働く調理師さんにもインタビューを実施しました。
後編記事にてその様子をお届けします!お楽しみに。
同じカテゴリの記事
【体験型で記憶に残す】展示会で配るパンフレット&ノベルティの参考に!エコプロ2024配布物事例
2025.01.27
「作りたて」の提供にこだわって30年。~高速オフセット食堂で働く魚国総本社の調理師さんに取材してみた~
2025.01.06
【LIMEX製品事例】ご当地ランチョンマット作ってみた
2024.11.11
【色紙印刷事例】オレンジの用紙×リッチブラックで、スチールのようなメタリックな質感を目指した話
2024.11.07
白インキを活用したデザインで【高級・おしゃれな】印刷物にできる話
2024.10.29
毎月1日はあずきの日!小豆柄CoCで健康促進&サステナブル啓発してみた
2024.10.01
目指すは「パケ買い!」ギフト包装に最適のビールケースを作ってみた
2024.09.24