「紙の力」を伝えた3日間。エコプロ2023展示会で【紙から学ぼうSDGs 紙研究所】を出展
2023.12.15
12月6日~8日に東京ビックサイトで開催されたSDGs Week EXPO。その中の1つ、「エコプロ2023」という展示会で「紙研究所」を出展しました!
当日はとても穏やかな気候で暖かく、ビックサイトにはなんと計66,826人もの来場者(※)が訪れました。
※参照:SDGs Week EXPO合計の来場者数
エコプロへの出展ははじめてだったのですが、「人が来てくれるかな?」という心配をよそに、ブースは終始大盛況。
「紙って、こんなにも人の心を動かせることができるものなんだ!」と、改めて感じました。
今回の展示会では、ほぼすべての展示物を自社で制作&印刷し、設営しています。
準備から後片付け、そして当日のブースの様子まで、コラムにてご紹介します!
企画編
「紙」という、アナログだからこそ伝えられること。
エコプロは1999年より毎年開催されている展示会で、環境系展示会としては国内最大規模を誇ります。
環境配慮型製品やサービスを展示し、社会課題解決に携わるビジネスパーソンや、社会課題へ意識・関心の高い生活者が来場します。
(参照:エコプロダクツ展 – Wikipedia、エコプロ2023)
企業の方や一般生活者はもちろんですが、保育園・幼稚園児、小学校~高校生と、子どもたちもたくさん来場するイベントです。
私たちは印刷物を取り扱う企業として、何を伝えるべきか?
ブースに来て、どう感じてもらえたら成功か?
出展メンバーで協議を何度も重ねていたところ、ふと気づいたことがありました。
紙って、目の前にあると手に取ってしまうよね
SDGsを意識して作られた紙って、見た目や手触りに特徴があるから、さわってもらうことで伝わる何かがあるのでは?
高速オフセットでは、廃棄されるお米を使った紙「kome-kami」や、フェアトレードで取引されるバナナの茎繊維を使った紙「バナナペーパー」など、日々、環境配慮用紙を使って印刷物を制作しています。
これらの紙は、世の中の様々な問題に目を向け、木以外の素材に成り代わるものをと、紙のメーカーさんが研究と努力を重ねて作られたものです。
様々な事情があって誕生した、愛嬌たっぷりの紙たち。
ちょっぴりでこぼこ・ざらざらしていたり、ふわふわ優しい手触りだったり。
素材の質感が見た目に表れている紙は、1つとして同じ模様にならなかったり。
紙という「アナログ」だからこそ、見るだけではなく、触って感じることができる。
そして、気に入った紙でワクワクする商品を作ってもらうことで、受け取った誰かがまたSDGsの紙を知ることができる。
そんな循環を生み出すことができればと、今回は「紙」をテーマに決めました。
ブースのタイトルは「紙研究所」。
ブースに訪れる方たちに、見て、触って、ストーリーを聞いて「好きな紙を見つけてもらいたい」という願いのほか、「私たち印刷会社もまだまだ環境配慮紙(と印刷素材)について勉強中」という意味もあります。
ブースにてみなさんの反応や率直なコメントを聞くことで、持続可能な社会の形成につながる紙や印刷方法を研究していくことがねらいです。
準備編
ブース装飾や配布物はすべて自社で企画デザイン&印刷!
「見て、触って、紙から学ぼうSDGs」を合言葉に、さっそくブース装飾や配布物制作に取り掛かりました。
実は…ほとんどすべて、自社で企画デザイン・印刷までしているんです!
どんなものを作ったのかをご紹介するとともに、それぞれの準備物を見たお客様からの感想をご紹介します!
1.ブース背景と展示パネル
今回のブースイメージは「研究所」。
子どもたちがたくさん来るので、ポップな印象のデザインを目指しました。
オレンジと青の背景に、各SDGs紙の説明パネルを作成。
あえて紙の写真ではなく、もととなる素材の写真を使うことで、「こんな素材が使われているんだ!」と目を引くパネルを目指しました。
ブース背景に直接印字するのではなく、背景とパネルと分けることで立体感が生まれ、安っぽくない印象に仕上がっているかと思います。
まあるい看板になったのはデザイナーさんの発案。やわらかい印象が出ますね!
そうそう、床にもご注目。鉄のようなデザインをターポリンに印刷してブースエリアに敷きました。
これがあるとないとでは、ブースの雰囲気もぐっと変わってきますよ!
ブースレイアウトは、特に大学生や、子ども向けにワークショップを行っている企業様から人気でした。
「かわいいから写真撮ってもいいですか?」といった嬉しい声もちらほら。
ありがとうございます!
2.廃材で作る紙オブジェ
当社の商材として「等身大パネル」があるのですが、作った後の残りのパネルはいつもゴミとして捨てていました。
「こういう廃材って何かに使えないですか?今回は紙をテーマにブースを考えていて、何か目を引くオブジェがあったらいいなと思うのですが…」と印刷職人に相談したところ、次の日に送られてきたのがこちら。
開けた瞬間、思わず「かわいい!!!!!」と叫んでしまいました(笑)。紙という文字のオブジェを作ってくれたんです。
このように、相談した次の日にイメージ通りのサンプルを作ってくれる印刷職人さんが同じ会社にいるのは、本当に心強いです。
紙オブジェは10枚のパネルが重なってできています。まとめて置くのも可愛かったのですが、当日は空きを埋めるように1枚ずつ貼り付けたところ、とっても目立つブースに仕上がりました。
ちなみにブース当日は、中学生が紙オブジェを持って記念撮影を楽しんでいましたよ!
3.バナナペーパーの「紙博士認定証」
今回、高速オフセットはエコチル(※)というコーナーでブースを出展しました。
※エコチルは2006年に創刊した子ども環境教育情報紙。地球環境保全に積極的に取り組む子どもたちを育むとともに、学校や家庭でエコライフが推進されることを目的としています。全国合計約118万部が毎月無料配布されています。
(参照:エコチル)
エコチルでは、それぞれのブースでクイズラリーを行っていました。
紙研究所のブースは、バナナペーパーに関するクイズ。
せっかくクイズに挑戦してくれた子どもたちに何か渡せないかと考え、「紙博士認定証」を作りました。
実はこれ、1人1人「博士番号」が異なるんです!
※バリアブル印刷という技術で作っています
このバナナペーパーの認定証が、特に子供たちに大人気。
受け取った瞬間「すごーい!」「僕も欲しい!」「なんか模様がある」「えー自慢しよ」といった声や、「バナナの匂いするの?」と顔に近づける子も。子どもの反応って、とっても純粋なんです。
配布した子どもたちが今度は「紙博士」となり、バナナペーパーの普及を推進してくれるかもしれません。
認定証は約830人に受け取ってもらうことができました。
こんなにたくさんの人にバナナペーパーのことを知ってもらえただけでも、ワンプラネット・ペーパー協議会(バナナペーパーの普及を推進する協議会)に入会している私たちとしては大満足の結果です!
4.紙図鑑
配布物として今回用意したのが、この「紙図鑑」。
子どもから大人まで気軽に読んでいただける内容なのですが…
なんと!それぞれの紙のサンプルもついているんです!
ブースの卓上にも触ってもらえる紙を用意していたのですが、「家や会社に戻ってからじっくり好きな紙を見つけてほしい」という想いから、ふろく付きのサンプルを作りました。
最終ページには、ちょっとしたクイズもあって、楽しみながら学んでもらえる冊子となっています。
この紙図鑑、意外と人気だったのが企業の方。
学校の先生や一般社団法人の方からは「この図鑑をもとに学校でセミナーをしてほしい」という声も多数いただきました。
中には、学校の先生からこんなお声をいただくことも。
この図鑑、本当に素敵だと思います。“紙”というテーマがまず、子どもにとって分かりやすい。子どもって、見るだけではなくて体感して覚えるんです。SDGsを学ぶきっかけとして、“紙”って本当に素晴らしいモノなんですよ。
※紙図鑑のPDF版を資料ダウンロードページより無料でダウンロードすることができます。もし活用できるシーンがありましたら、ぜひご利用ください。(紙サンプルは付属しません)
紙図鑑は、約970人もの方々に受け取ってもらうことができました。
こんなにたくさんの人たちにSDGs用紙へ興味を持ってもらえるなんて、印刷物を取り扱う当社としては本当に嬉しい限りです。
5.投票パネル
様々なSDGs紙(と印刷素材)について学んだ方に、「どの紙が好きか」のアンケートを取りました。
今後、高速オフセットが企業様に提案する際の調査結果として使用したり、SDGs紙を取り扱う上での判断材料にするためです。
見た目や手触りで選ぶも良し、説明を聞いて、そのストーリーで選ぶも良し。
ふわふわしているから、タンザニアコットンが好き
やっぱりバナナペーパーです。大学でずっと研究しているので
ビールの粕が紙になるなんて意外!
東北コットンです。東日本大震災を忘れないためにも
などなど、みなさんそれぞれ違った観点で選んでいただき、計201票の投票がありました。
6.トレーシングペーパーファイル
企業様向けの資料として、当社のサービス紹介資料をお渡ししました。
「1枚1枚バラバラだと、持って帰るのに大変かな…」とクリアファイルを作ることに。
紙研究所だからこそ、素材はやっぱり「紙」!
ということで、トレーシングペーパーファイルを作成しました。
かわいいイラストが目を引きますよね!
ちょっぴり透けるので、中身が見えるのもポイントです。(そして、紙素材なので書けるんです!)
このライオンファイルは、意外と中学生&高校生に人気でした。
「かわいいからもらっていいですか?」の声がちらほら。「これ、紙なんだよ」と言うと、「えー!すごい!」とびっくりしていました(笑)。
7.その他
ブースの真ん中にはそれぞれの紙と、もととなる素材を「研究室」風に置きました。
「えっ、お米が紙になるの!?」
「小豆の紙は確かに小豆の色が出てる」と、素材と紙を見比べる人が多数。
長い説明を書くよりも、視覚で伝えるって大事だな~と実感しました。
展示会前日編
ブース設営も自社で完結!
さて、先ほどご紹介したブースの展示物ですが、実は設置も自社で行っています!
ブース背景はフックにひっかけるだけの仕様。
位置さえ決まれば、少ない人数でも簡単に組み立てることができます。
パネルも貼り付けるだけなので簡単。
ここ最近、当社ではたくさんの展示会に出る機会があったのですが、「誰でも簡単に組み立てられるように」という形を目指して何度も何度もアップデートを重ねてきました。
小さいブースでしたが、本当にたくさんの方に足を止めていただきました!
展示会当日編
大盛況のブース。写真でご紹介!
いよいよ迎えた当日。
「人が来てくれるかな…」とちょっぴりドキドキしていたのも、つかの間のこと。
次から次へとたくさんの人がブースに訪れ、予想を超える大盛況となりました。
展示会当日の様子をいくつか写真でご紹介。
クイズを楽しむ小学生たち。
「バナナペーパーは、バナナの皮から作られている。〇か×か?」という問いに挑戦しました。
「隣に答えのパネルがあるから、よく読んでね。本当に皮かな?」とヒントをあげると、「えー、皮じゃないの?」「茎繊維ってどこ?」と、とっても興味をもってくれました!
正解した子供たちにはバナナペーパーで作った認定証をプレゼント。
自分で答えたクイズの商品がもらえるのがうれしかったのか、「えっ、すごい!これがバナナペーパー!?」の声多数。
クイズは大盛り上がり。午後になると中学生たちが続々ブースに来てくれました。
保育園の子でしょうか、こんなにかわいいお友達もブースに遊びに来てくれました。
クイズはまだ早い年齢だったので、机の上のいろんな紙を触ってもらうことに。
みんな、好きな紙はあったかな?
クイズではなく、展示物をじっくり見て研究メモを書く子どもたちも。
「すてられるおこめが 紙になる」「あずきの紙ははじめてみた」など、子どもたちらしい感想を書いていました。
一通り説明を聞いて、触ってみたあとは、投票タイム。みんな、どれが好きだったかなー?
大学生や一般の方になると、パネル展示をしっかり見たり、実際に紙を触って感触を確かめていく方が多かったです。
持続可能な社会のために、高速オフセットができることを。
子どもたちにとって、紙ってとても良い教育道具なんです
学校の先生からいただいたこの言葉は、私たち紙を扱う企業にとっては宝物です。
手に取るからこそ伝わったり、考えたりするきっかけが生まれる。
デジタルへの移行が進む世の中ですが、紙にしかない「伝える力」もあるのだと、改めて実感した3日間でした。
「紙かデジタルか?」とお互いを敵視しあうのではなく、目的に合わせて適切に使い分けをし、持続可能な社会やわくわくする未来を作っていければと願います。
高速オフセットでは、引き続き「人や環境、地球に優しい」製品の取り扱いを研究してまいります。
何かお手伝いできることがあれば、ぜひ、お気軽にお問い合わせください!
今回展示した紙研究所の特設サイトはこちら
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