2024.11.11

#idea08 テンセグリティ構造のオブジェ

宙に浮いている不思議なオブジェ。それは「テンセグリティ構造」だった

PRILAB
PRILAB
デジタル印刷企画チーム

小さな棚といえば棚。
しかし、上部の天板を支える柱はない。宙に浮いているように見える…。

宙に浮いている不思議なオブジェ。それは「テンセグリティ構造」だった

この「不思議なオブジェ」を作ってみようと思ったきっかけは、商材をネット販売している社内の担当者から、「小学生向けに、夏休みの工作のネタになるようなものが作れないか。例えば組み立て式の恐竜とか」とオファーが入ったこと。

普段はデジタル印刷機器を使ったり、アクリル製や木製などの販促グッズを作っているけれど、なんだかおもしろそう。

よし、チャレンジしてみよう!

作れたら面白いかも

「何を作ればいいのかな」。悩んであれこれ考えながら、木の棚を作る仕事をしていたとき、なぜか、この「宙に浮いているオブジェ」を1年前くらいにネットサーフィンで見た記憶がよみがえってきた。

作れたら面白いかも

改めてネットで調べ、これは構造計算の世界で「テンセグリティ構造」と呼ばれているもの、と分かった。
建築物はじめ彫刻にも使われているようだ。

テンセグリティとは、テンション(張力)とインテグリティー(統合)をくっつけた造語である。張力とは、細いひものようなものを引っ張る時に働く力だ。
少し難しい説明をすると、近付こうとする二つの部材を、張力材(細いひも状のもの)でつないで、張力のつり合いによってバランスさせ、安定させるのが「テンセグリティ構造」だ。

「見よう見まねで出来る」と直感

でも、そんな理論を理解して、設計したわけじゃない。

普段の工作経験から、「見よう見まねで、作れるんじゃないか」と直感的に思ったからだ。
素材をレーザーカッターで切るのは、仕事でやっていて「お手の物」だった。

試行錯誤はもちろんあった。
最初の試作品は、木の板ではなく、アクリル板を使い、張力材も、キーホルダーなどに使われるボールチェーンで、作ってみた。

何とか似たようなものが完成した。でも、アクリル版は透明で、見た目に重さを感じにくく、浮いている印象が出づらい。
また、張力材も、ボールチェーンが目に入り過ぎ、浮いている感じを消し気味になる。

最初の頃の試作品

▲最初の頃の試作品

目に入りにくいミシン糸使用と、質感のある木の板使用に改良

そこで改良を考えた。

張力材は、透明で細くて、目に入りにくいミシン糸に変えた。部材も、アクリル版から、重みを感じやすい木の板に変えた。ミシン糸は、工場にあったミシンの樹脂製糸を使った。
デザインも、水中の泡をイメージして、天板パーツの下部を輪の連鎖にしてみた。

細くて軟らかくて、真っすぐには立たないはずの4本のミシン糸が、ピンと張って、天板の荷重を支えている。ミシン糸の存在は、遠目からは見えにくいので、天板が、まるで空中に浮いているように見える

スマホくらいの重さの物を上に置いても、天板は宙に浮いたままで、形が崩れることはない。
こうして、作品第1号(高さ17.5㌢)が完成した。

目に入りにくいミシン糸使用と、質感のある木の板使用に改良

細くて軟らかくて、真っすぐには立たないはずの4本のミシン糸が、ピンと張って、天板の荷重を支えている。ミシン糸の存在は、遠目からは見えにくいので、天板が、まるで空中に浮いているように見える

最初にオファーした担当者も、一目見て「面白い」。
知育系の玩具というより、名前を入れてカスタマイズする記念品向きかも

作品第2号は名入れ記念品向け

その意見を反映させて、作品第2号(高さ19.5㌢)は、愛犬家向けの名入れ記念品をイメージし、天板下部のパーツに犬のシルエットや、足の肉球をレーザーで描いたデザインにして、完成させた。
空中浮揚感もさらにアップした。

作る時に最大のポイントになるのは、ミシン糸の長さの調整。
天板が浮くバランスが最適になるよう、微妙な調整が必要。

だから、板の四隅にある、ミシン糸をとめる穴の部分は、工夫した。

穴にミシン糸を通し、最適の長さに微調整し、浮き方のバランス具合を確かめたところで、小さな留め材を隣の穴に押し込めば、ちょうど良いところで簡単に糸がとめられる。

穴にミシン糸を通し、最適の長さに微調整し、浮き方のバランス具合を確かめたところで、小さな留め材を隣の穴に押し込めば、ちょうど良いところで簡単に糸がとめられる。

「見ると不思議だが、実際に自分の手で作ってみると、重力で下に落ちようとする天板を、糸の張力がバランスして支えているのが、違和感なく分かる」

モノづくりの深さと楽しさだと言えるだろう。

※当商品は株式会社高速オフセットのクリエイターが企画し、自社工場にて印刷テストを行った「アイデアの試作品」です。

商品化・企業様のOEM製造等につきましてはお問い合わせください。

加工
レーザーカッター
用紙・素材
リリース日
2024年11月11日
もっと見る
PRILAB

お客様の更なる「これが欲しい!」の声を形にするため生まれた「ぷりラボ」。紙以外の素材と印刷を掛け合わせることで、多種多様なニーズにお応えすることを目的にしたデジタル印刷ラボラトリー・チームです。 https://www.kousoku-offset.co.jp/indigo/print-laboratory/

Products

もっと見る